株やFXにはアノマリーと呼ばれる理論的には説明できないけど、そうなってしまう現象というものがあります。ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析など投資理論を勉強しても気付けないものなので、それだけにアノマリーを知らないことは大きなリスクになります。

アノマリーを活用した投資をするかは人それぞれですが、思わぬところで足をすくわれないためにも投資家なら誰しもが一応は知っておいた方が良いので、この機会にアノマリーを知ってみて下さい。

月別アノマリー

1月株高(1月)

1月は月末にかけて株高になりやすいと言われています。

年末に抜けていた資金が戻ってきたり、弱気材料が少なかったり、年初というポジティブな時期であることが要因として考えられています。

これといった根拠はないですが、この株高の傾向は1月下旬まで続くと言われており、1月末から2月に入ってくると企業決算など価格変動の材料が出始めてくるので、なんとなくポジティブな相場環境からピリピリした雰囲気に変わっていきます。

1月株高についてこちらで詳しく解説、検証しています

中国の春節(1月下旬~2月上旬)

中国の旧正月にあたる春節前後は、株価が下げやすいと言われています。

長期連休に伴い、中国勢の資金が抜けて全体の出来高が減少するため、薄商いと狙ってヘッジファンドが仕掛けてくることが要因と考えられています。

ちなみに、日本の小売業など一部の銘柄については、春節での中国人観光客増加を材料視してポジティブに反応する「春節銘柄」が登場してくることもあります。

節分天井彼岸底(2月~3月)

節分前後(2月上旬)以降は株価が軟調になってお彼岸前後(3月中旬)まで、株価の下降傾向が続くというアノマリーです。

企業決算が落ち着いてくる2月上旬以降は、年度末を意識したポジション調整が入りやすい時期になるので、下降傾向になりやすいと考えられます。

3月中旬頃になると、機関投資家のポジション調整は落ち着いてくる一方で、配当金狙いや新年度を意識した資金流入が増えてくるため、お彼岸前後が底になりやすいと言われています。

節分天井彼岸底についてこちらで詳しく解説、検証しています

新年度効果(4月)

新年度となる4月は株価が上がりやすいというアノマリーです。

新年度になると、企業では年度予算が組まれて市場へ新しい資金供給が生まれます。また、2月から3月にかけて機関投資家のポジション調整により逃げていた資金も、この新年度に戻ってくるので株価が上がりやすいと考えられています。

GWの値動き(4月下旬~5月上旬)

ゴールデンウィーク前後は株価の天井になりやすいと言われています。

新年度効果が一巡して、材料が乏しくなってくるのに加えて、ゴールデンウィークという長期連休で日本国内の出来高が激減したところをヘッジファンドが狙ってくると考えられます。

ヘッジファンドの仕掛けなどで勢いを失った株価は下降トレンドへとトレンド転換しやすくなり、結果としてGWが天井になりやすいと言われています。後述するセルインメイを意識した個人や機関のポジション減の値動きも否定しきれないです。

GWの値動きについてこちらで詳しく解説、検証しています

Sell in May(セルインメイ)(5月)

株は5月に売るのが良いとされるアノマリーです。年間を通して、5月を天井にそれ以降10月頃までは下降トレンドになることから、世界的に有名なアノマリーです。

なぜか分かりませんが、実際にアジア通貨危機(97年7月)やリーマンショック(08年9月)など世界恐慌の発端は、だいたいこの時期に発生しています。後述しますが、全体的に夏は軟調になりやすい傾向があるので、それもこのアノマリーを定着させる要因になっていると考えられます。

セルインメイについてこちらで詳しく解説、検証しています

夏枯れ相場(7月~8月)

夏(7月~8月)は株価が軟調になりやすいというアノマリーです。

夏のバケーションシーズンになると、機関投資家では1カ月以上の長期連休に入るところもあり、売買出来高が大きく減少します。日本でもお盆前後の出来高が減少します。この結果、株価は不安定になり、下落しやすくなると言われています。

夏枯れ相場についてこちらで詳しく解説、検証しています

稲穂相場(9月下旬~10月)

10月前後は株価が軟調になりやすいというアノマリーです。

諸説ありますが、ヘッジファンドを解約する場合は45日前に通知しなければいけないという45日ルールがあるため、12月決算だと11月中旬頃が解約時期となります。つまり、ヘッジファンドとしては、顧客に逃げられないために10月頃からパフォーマンスを上げるために仕掛けていく必要があります。

ヘッジファンドは空売りなどで相場を動かして儲けるので、これが結果的に相場の不安定化に繋がり軟調になりやすくなると考えられています。

稲穂相場についてこちらで詳しく解説、検証しています

中国の国慶節(10月10日)

中国の連休である国慶節前後は、株価が下げやすいと言われています。

春節と全く同じで中国勢の資金流入が無くなるので、出来高が大きく減ってきます。こうした薄商いを狙ってヘッジファンドが仕掛けてくるので、株価が下げやすくなると考えられます。

ハロウィン効果(10月下旬~11月上旬)

ハロウィン(10月31日)を境にトレンド転換して上昇トレンドとなるアノマリーです。

上述したように10月頃はヘッジファンドにより株価が軟調になりやすいですが、あくまでヘッジファンドの仕掛けは実体が伴うものではないので、すぐに株価の戻しが11月頃にあることからこのような値動きをすると考えられています。

12月株安(12月)

12月は株安になりやすいというアノマリーです。

これは税金や長期休暇などに起因するポジション調整が影響していると考えられており、12月中旬ごろまで株価は軟調となると言われています。逆に、12月下旬は後述するように年末のアノマリーで株価を上げやすいと言われていますので、ご注意下さい。

12月株安についてこちらで詳しく解説、検証しています

サンタクロースラリー(12月下旬)

12月下旬から年末にかけて株価上昇するという世界的なアノマリーです。日本市場でも同じようなことが言われており、掉尾の一振と呼ばれています。

12月最終週は税金対策による資金流出が終わり、その資金が戻り始めます。来年度1月の株高を期待した買いなども入ってくるので株価が上がりやすいと考えられます。

日本でもアベノミクスで沸いた2013年に安倍首相が東証の大納会に自ら出席し、年末の株高を演出してきました。そういった意味では記録にも残る年末の終値は政治的にも重要な意味を持つと言えるので、なおさらこのアノマリーの信憑性が上がります。

特定周期のアノマリー

月曜株安、火曜株高

月曜日は株価が下げやすく、火曜日は株価が上がりやすいというアノマリーです。

1990年3月から2017年3月までのデータをご覧下さい。その日の寄り付きで買って、その日の引けに売った時のパフォーマンス平均です。

曜日 勝率 平均損益
月曜日 45.6% -247円
火曜日 48.3% -15円
水曜日 47.8% -52円
木曜日 47.8% -24円
金曜日 48.1% -38円

月曜日のパフォーマンスが圧倒的に悪いことが分かります。火曜日については最もパフォーマンスが良いですが、それでもマイナスなので他の曜日と比較して株高ということなので、火曜日に株価が上がると言っているわけでは無い点は注意して下さい。

寄り付き天井、引け安値(1日周期)

1日の値動きとして寄り付きが高く、引けが安くなりやすいというアノマリーです。

1990年3月から2017年3月のデータで、寄り付きで買って、引けで売った時の勝率は47.5%となり、このアノマリーが成立しています。

実際に、好材料などで株価が暴騰して寄り付きが高くなっても、1日の値動きとしては徐々に材料出尽くしで値を下げていく傾向が株価にはあると考えられています。

魔の水曜日

SQ値の算出がある週の水曜日は株が軟調になりやすいというアノマリーです。

SQ値とは、先物やオプションで最後まで持っていた場合の清算価格のことです。このSQ値はオプションなら毎月、先物なら3月6月9月12月の第2金曜日の始値で決められます。SQ値に絡んだ思惑で実際の株価市場でも機関投資家による取引が活発化してきます。

投資家たちはSQ値では値動きが荒くなることを嫌がり、少し前の水曜日にポジション調整して相場が軟調になると考えられています。

魔の水曜日についてこちらで詳しく解説、検証しています

雇用統計(毎月第1金曜日)

毎月第1金曜日前後は値動きが荒くなると言われています。

これは、米国雇用統計が発表されて、それによって米国の政策が変わる可能性があるからだと考えられています。雇用統計を跨いでポジションを持つことは、特にFXの世界では自殺行為とされており、ポジションをクローズする、もしくは小さくするトレーダーが多いため、雇用統計前の値動きは軟調になりやすいと言われています。

ちなみに、事前指標で良かったとしても、そうすると期待値が上がってしまい、期待通りの結果にならなかった場合の暴落が恐ろしいので、この時期はポジションを持たない方が良いです。

米国大統領選挙(4年に1回)

大統領選に絡んで株価が上がりやすいと言われています。

大統領選前年度から票取りのための経済政策等が実行されることで、株価は上がりやすくなると言われており、この傾向は就任後の4月まで続くと言われています。

米大統領選のアノマリーについてこちらで詳しく解説、検証しています

オリンピック(夏と冬で2年1回)

オリンピックに絡んで株価が上がりやすいと言われています。

オリンピックの経済効果は言うまでもなく巨大なものとなっており、当然株価にも影響が出ると考えられています。ちなみに、実はこのアノマリーはあまり当たらないです。過去に検証したデータがあるので、興味ある方は下記をご覧いただければと思います。

夏季オリンピックの検証データはこちら

冬季オリンピックの検証データはこちら

ゴトー日(毎月5日と10日の付く日)

毎月5と10の付く日は、円安ドル高になりやすいというアノマリーです。これは、為替変動なのでFXの世界で良く知られています。

毎月5と10の付く日は、ゴトー日と言われており日本企業の決済日とされています。つまり、輸入企業は基本ドル建てで契約していることが多いので、このタイミングで一斉にドル買いの需要が発生して円安ドル高になると考えられています。

取引は朝方に集中して10時ごろまでには落ち着いてきます。

TOM効果(毎月末)

月末月初は株高になりやすいというアノマリーです。

月末は投資信託の購入日に設定されていることが多く、機関投資家は自分の評価を上げるために株価を吊り上げようと画策します。結果として、株高になりやすいと言われています。ちなみに、これをお化粧買い、ドレッシング買いなどと呼びます。

ちなみに、このTOM効果を利用した投資信託が存在しており、それぐらいこのアノマリーは広く認知されているものです。

TOM効果ついてこちらで詳しく解説、検証しています

二日新甫は荒れる(年に数回)

2日から始まる月は相場が荒れるというアノマリーです。ちなみに、新甫とは月初の立ち会いに新しく出てくる先物のことを指しており、ここでは相場の始まりを意味しています。

このアノマリーは非常に有名ですが、こじつけでも理由付けすることができず、たまたまそうだっただけとしか現状では言えないです。ちなみに、最近では二日新甫よりも、三日新甫の方が高い確率で相場が荒れるということが知られていますので、ご参考までに。

ラマダーン(年に1回)

ラマダーンとは、イスラム教の中で神聖な月として考えられており、信仰心を強めるために断食することで知られています。でも、実は断食ではなく性欲なども含めて欲を断ち、悪口や争いなどの忌避されるべきことも断つことでイスラム教への信仰心を強めることが目的です。

当然、株式やFXへの投資も控えめとなり、イスラム圏の売買出来高は減少するため、この期間は株価が荒れやすかったり、軟調になりやすい傾向があります。以下、最近のラマダーンの期間です。

西暦 イスラム歴 開始日 終了日
2017年 1438年 5月27日 6月25日
2018年 1439年 5月16日 6月14日
2019年 1440年 5月5日 6月3日
2020年 1441年 4月24日 5月23日

イスラム歴の9月に行われますが、イスラム歴は基本354日なので、西暦に直すと開始日と終了日が毎年11日前後ずれていくことに注意が必要です。

辰巳天井、午年尻下がり(12年周期)

干支で辰巳が株価の天井となり、その後下降トレンドになるというアノマリーです。

干支と株価変動の周期には関係があると考えられており、その中で辰と巳の年が株価の天井を付けると言われています。

干支 株価の傾向
繁栄
つまずく
千里を走る
跳ねる
辰、巳 天井
尻下がり
辛抱
申、酉 騒ぐ
笑い
固まる

上記のように、12年サイクルで株価が一巡していきます。

その他アノマリー

小型株効果

時価総額が小さい銘柄の方が、大型株よりもパフォーマンスが高いというアノマリーです。

これは大型株はそこそこの知名度があり、株価も正当な評価を受けているが、小型株は世の中に知られておらず割安なまま放置されていることが多いことから、こうしたアノマリーが言われています。

また、株価は成長率に従って変動しますが、小型株の方が大型株よりも金額は小さいものの、成長率は圧倒的に高いので、株価も上がりやすいと言われています。

高配当株の値動き

高配当株は期末にかけて株価を上げやすいというアノマリーです。

誰しもがお金をもらいたいのだから、高配当株に資金が集中するのは当たり前と思いきや、配当が出れば権利落ちによって株価は下がるので、期末の配当狙いでの買いはあまり意味がありません。それにも関わらず、株価を上げやすい傾向があると言われています。

高配当株の値動きついてこちらで詳しく解説、検証しています

ジブリの呪い

ジブリの放送された翌営業日の相場は大荒れになるというアノマリーです。

実際に、その傾向があるので恐ろしいアノマリーなのですが、実はジブリの放送が上述した雇用統計の発表と重なることが多いためだと言われています。

サザエさん効果

こちらは、サザエさんの視聴率が下がると株価が上がり、視聴率が上がると株価が下がる傾向があるというアノマリーです。

これは、サザエさんを見ている人が増えると日曜のゴールデンタイムに家にいる人が増えていて、景気が悪くなっていると言われています。そのため、株価も下げやすくなります。逆に、サザエさんを見ている人が減れば景気が良くなっていると判断できるわけです。

ちなみに、最近ではメディアが多様化してきており、必ずしもサザエさんを見るというわけでは無くなってきているので、このアノマリーは当てはまらなくなっているかもしれません。