メキシコ駐在員が語る新興国通貨の現実!高金利と価値下落の関係

FXで新興国通貨と言えば、スワップが高金利なので個人投資家に人気となっています。

でも、高金利なものには必ず落とし穴があって、新興国通貨は価値が下落しやすい特徴があります。

実際に新興国通貨を使っていたメキシコ元駐在員という立場から肌で感じた実態や高金利と価値下落の関係性について説明していきます。

10秒で分かる本日の概要
  1. 元駐在員から見て、新興国は物価も賃金も上昇スピードが違う
  2. 結果として、通貨価値が下落してしまうのは必然
  3. 新興国通貨の正しい投資方法はいかに価格変動リスクを回避するか

FXで新興国通貨は投資しない方が良い?

新興国通貨とは

新興国通貨という定義は曖昧ですが、FXの世界ではトルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランドなどの発展途上国の高金利通貨のことを新興国通貨と呼んでいます。

日本ではマイナス金利が導入されているため銀行に預けても金利はほぼゼロですが、こうした国では年利数%、あるいはそれ以上の金利が発生するので、日本人投資家に人気の投資先となっています。

実際に、FXを使えばスマホ一つで新興国通貨を購入することができ、スワップポイントと呼ばれる金利のようなものを受け取ることができます。

とは言え、新興国通貨が高金利なのにはそれなりの理由があって、新興国はインフレしやすく、通貨価値が下落しやすい傾向にあります。

なんか知らぬ間に利息がいっぱいもらえてお金が増えていく・・という感覚で、新興国通貨に手を出すと高い確率で痛い目をみるのが現実です。

ちなみに、私は元メキシコ駐在員

実は、私はメキシコに駐在していた経験があります。

なので、人気新興国通貨の一角であるメキシコペソを実際に使っていたし、毎年のように物価が上がる現象も目の当たりにしてきました。

メキシコでは、昨日まで10ペソ買っていたジュースが、次の日から11ペソになるのは普通です。

日本のように、いちいちニュースになったりするわけではなく、年1回ぐらいのペースで定期的に価格が上がっていきます。

また、仕事ではメキシコ人を雇用する側でしたが、メキシコ人の給料も年間5~6%ぐらいは昇級させてあげないと、メキシコは労働組合が強いのでボイコットされてしまいます。

私がいた会社だけじゃなくて、メキシコ全体でそれが当たり前になっているわけです。

このように、メキシコは日本で考えられないスピードで物価や賃金などが上がっていきます。

新興国通貨で大損しました

実際に、物価上昇に連動して通貨価値も下落していて、赴任した当時1ペソ=7.5円ぐらいあった通貨価値が、帰任する頃には1ペソ=5.5円まで下落していました。

でも、それは当然でメキシコは政府公表値で3%、実質は5%以上のインフレ上昇が毎年あります。

ちなみに日本は、デフレ国家です。

5%インフレするということは、通貨価値で言えば5%ずつ低下することになります。

5%インフレした場合の通貨価値下落
  • 初年度 1ペソ=7.5円
  • 1年後 1ペソ=7.13円
  • 2年後 1ペソ=6.77円
  • 3年後 1ペソ=6.43円

こんな感じで、インフレする分だけ、通貨価値が下がります。

イメージにすると、下図のようになります。

実際には、私が赴任していた当時は運悪く、もっと早いペースで通貨価値が下落していましたが、理論上でも3年で1ペソ=7.5円から6.43円まで下落するのは自然なのです。

結果、メキシコペソを大量に貯蓄していた私は、大きな為替差損を計上することになりました。

主要3通貨(トルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランド)のチャート

メキシコペソのチャート

ここまでは私の体験をお話していきましたが、実チャートはどうなっているのかを確認します。

結論としては上下ありますが、右肩下がりと言えます。

こう見ると、自分が赴任していた時期がちょうど通貨価値が下落している時期で運が悪いですね。

トルコリラのチャート

次に、トルコリラのチャートも確認してみます。

見た通りですが、美しい右肩下がりのチャートなっています。

南アフリカランドのチャート

最後に、南アフリカランドです。

右肩下がりと言って、違うだろってツッコミはこないと思います。

FXで人気の新興国通貨である、メキシコペソ、トルコリラ、南アフリカランド、全てが右肩下がりなわけで、新興国通貨の通貨価値は右肩下がりという結論には疑いようがないわけです。

高金利と価値下落の関係性

高金利になっている理由

そもそも通貨というのは、需要と供給によって価値が決まっています。

当然、需要があれば価値は下がりません。

つまり、国内に投資を呼んだり、モノを海外に輸出したりすれば、通貨価値は上昇します。

日本が車や電子製品などの輸出大国であることは今更説明の必要は無いと思いますが、実際に日本は通貨価値が下がりにくい経済構造の典型例と言われます。

一方で、新興国というのは先進国と比べて国内に魅力が低く、モノづくりも後進国なので、通貨価値が下がりやすいわけです。

そして、通貨価値下落に歯止めをかけるために、高金利にして通貨の魅力を高めるわけです。

もちろん、モノの見方にはいくつか切り口があるので、上述したアプローチが全てではありませんが、高金利になる理由の一つの切り口として、知っておいて戴ければと思います。

高金利と価値下落

年利10%とか通貨があったすると、毎年物凄いスピードでお金が増えていきます。

上述した通り、通貨価値は需給で決まるので、供給が需要を上回ってしまいます。

セオリーから言えば供給が増えれば、通貨価値は下がってしまいます。

厳密には、高金利通貨は貨幣量が高速で増加していき、そうするとモノの価値も上がっていき、通貨価値が下がっていきます。

貨幣の価値とインフレは逆相関になるのが知られているので、その点も押さえておいて下さい。

結局、金利、物価、通貨価値などは密接に関わっていて、どこからアプローチしても結論は同じになるので一つの現象として理解しておくのが良いです。

価格変動リスクを回避すれば高利回りだけ享受できる

新興国通貨というのは高金利ですが通貨価値が下落していくので、そんなに美味しい取引でもないということが分かってきたかと思います。

じゃあ、投資しないのが正解なのかと言うと、それも勿体ないです。

実はこの高金利を活かした手法が存在します。

それは、スワップポイントのサヤ取りと呼ばれる手法で、同一通貨を両建てするので価格変動リスクを回避することができ、かつスワップ金利を受け取れるという魔法のような手法です。

同一通貨での両建てではありませんが、似たようなコンセプトで価格変動リスクを低減できる手法もあるので、そちらも興味があればご覧下さい。

新興国通貨に投資するならば、いかに価格変動リスクを回避するかという視点が重要です。

高金利だからお得という考え方は捨てた方が良いです。