FXやCFDを始めた方が序盤でぶつかる壁というのは、証拠金維持率やらロスカットやら重要そうだが良く分からないということです。

ややこしい計算をしているので、分かりにくいところですが、資産を守るにはロスカットという最終デッドラインの正体を知っておく必要があります。今回は、FXやCFDで頻出単語の証拠金維持率、レバレッジ、ロスカットの3つを網羅的に説明していきます。

証拠金維持率とレバレッジの関係

証拠金維持率とは|計算方法

証拠金維持率とは、FXやCFD等において、口座の時価評価に対して業者が求める必要証拠金の割合をみている指標です。業者としてはFXやCFDのサービスを提供する上で、我々利用者に損失出したのでお金足りなくて払えませんと言われると困ってしまうので、何かしらの担保を持っておかないといけません。それが必要証拠金と呼ばれるものです。これと口座の時価評価額を比べて、何%の証拠金維持率があると見えるようにすることで、視覚的に現状把握ができます。

証拠金維持率は100%下回ると、証拠金が足りないということを意味するので、証拠金の積み増しが必要になります。100%下回ると強制決済されるものと勘違いしている方も多いですが、それは業者によりけりです。そういった業者もありますが、100%下回っても証拠金を積み増せば決済されない業者もあります。ロスカットの話と絡めて後ほど説明します。

証拠金維持率の計算方法

証拠金維持率(%)=(口座残高+含み損益+スワップ損益)÷必要証拠金×100

例えば、10万円口座に入金して、1ドル=100円のレートで1万通貨買った(ロング)とします。必要証拠金は4万円だと仮定すると、この時点の証拠金維持率は10万÷4万=250%となります。その後、レートが95円になったとします。そうすると、含み損が5円×1万通貨で5万円発生しています。スワップ益は+500円と仮定しておきます。この場合、口座の時価評価は、10万円ー5万円+500円=5万500円となります。この時点の証拠金維持率は5万500円÷4万=126.25%となります。

つまり、損失を出せば証拠金維持率が低くなってしまうので、証拠金を積み増さないといけないということです。感覚的には分かると思いますが、やみくもに維持率を上げても資金効率が悪いので、証拠金維持率をきちんと理解して、いくら証拠金を積めばどれぐらいの維持率になるのかを計算できるようにしておくことが、資金効率を高める上で重要です。

必要証拠金の決め方

証拠金維持率を計算する上で、必要証拠金が重要ということは上述した計算式を見れば分かると思いますが、必要証拠金はどのように設定されているのか知っておいて下さい。少し歴史の話をしますが、必要証拠金は各業者によって自由に決めることができました。当然、必要証拠金が多いとそれだけ大きな金額で取引をすることが難しくなるため、各業者は必要証拠金を引き下げ競争をしていました。

結果、ハイレバレッジの取引が増えて破産者が増加したため、金融庁が投資家保護の観点から必要証拠金の規制強化に動き出します。そして、法律(金融商品取引業等に関する内閣府令)の改正が行われて、2011年8月1日から必要証拠金は4%以上を確保することを業者に義務付けるようになりました。

このような背景があり、現在の必要証拠金はだいたい4%で設定されていることが多いです。ただし、トルコリラなどのリスクが高い通貨だと6%とか少し高めに設定する業者もいます。

ちなみに、必要証拠金は週末の終値ベースで、翌週の必要証拠金が計算されるため、時価の4%が必要証拠金ではないという点は注意が必要です。必要証拠金は各業者のホームページやアプリのどこかに必ず書いてある(それだけ重要!)ものなので、取引するときはチェックする習慣を持っておいて下さい。

レバレッジとは|計算方法

レバレッジとは、自己資金を担保に自己資金以上の資金を集めて取引することで高まる資金倍率のことを言います。。例えば、100万円の資金で、500万円の取引をすれば、レバレッジ5倍と言った表現をされます。証拠金維持率と似たような指標なので、混同されている方もいるかもしれませんが、別物なのでこの機会に2つとも一緒に覚えてみて下さい。

レバレッジの計算式

レバレッジ=ポジションの時価評価÷(口座残高+含み損益+スワップ損益)

証拠金維持率の説明で使ったのと同じ例で説明すると、10万円口座に入金して、1ドル=100円のレートで1万通貨買った(ロング)とします。このときのレバレッジは、100万円(ポジションの時価評価)÷10万円=10倍となります。その後、レートが95円になったとすると、含み損が5円×1万通貨で5万円発生しています。スワップ益は+500円と仮定しておきます。この場合、口座の時価評価は、10万円ー5万円+500円=5万500円となります。この時点のレバレッジは、95万円÷5万500円=18.81倍となります。

つまり、損失を出せばレバレッジが上昇していきます。後ほど詳しく説明しますが、リスク管理の観点から言えばレバレッジは10倍程度が限度だと思うので、レバレッジを意識しながら都度ポジションの調整や口座残高の積み増し等をするのが大切です。(一般的な最大レバレッジは25倍まで可能です)

証拠金維持率とレバレッジの関係

証拠金維持率とレバレッジについてみてきましたが、実はこの2つには相関性があります。知らなくても支障はありませんが、知っておくと便利なシーンもあるので、説明しておきます。レバレッジの式を改変していくと、証拠金維持率とレバレッジの関係が見えてくるので、下記をご覧下さい。

証拠金維持率とレバレッジの関係

レバレッジ=ポジションの時価評価÷(口座残高+含み損益+スワップ損益)

レバレッジ=必要証拠金÷4%÷(口座残高+含み損益+スワップ損益)

レバレッジ=必要証拠金÷(口座残高+含み損益+スワップ損益)÷100÷4%×100

レバレッジ=1/証拠金維持率÷4%×100

式を改変していく過程は重要ではないので割愛しますが、重要なのは最後の式です。この式が意味するところは、証拠金維持率とレバレッジは正の相関性があるということです。正の相関性というのは、どっちかが増えれば、もう一方も同じように増えるということです。具体的には、以下となります。

レバレッジ 証拠金維持率
1倍 2500%
2倍 1250%
4倍 625%
10倍 250%
25倍 100%

レバレッジ25倍は、証拠金維持率100%と等しくなります。なので、証拠金維持率100%以上を維持しなければいけないというのは、レバレッジ25倍以下にしないといけないというのと同じ意味なのです。このように証拠金維持率とレバレッジは、計算式や考え方が全く違いますが、リスク管理として線引きしているラインは同じであるということを知っておいて下さい。

証拠金維持率とロスカットの関係

ロスカットとは|追証のリスク

ロスカットとは、あらかじめ決められた損失額に達するとそれ以上の損失額拡大を防ぐために行われる強制決済です。FXやCFDは、為替や先物など価格変動のあるリスク資産を運用する取引なので、価格変動によっては利用者が破産してしまう可能性もあり、投資家保護の観点から導入されています。業者にしてみても、破産者が増えればそれだけ不良債権が増えてしまうので、ロスカットという仕組みを導入して回収可能な範囲で利用してもらった方が良いのです。

ただし、注意点としてロスカットの仕組みは万能ではなく、急な値動きで決済注文が成立しなかったり、週明けで大きく価格が乖離してしまったり、不測の事態では口座資金以上の損失が出る可能性があります。このような状況を追証と呼び、口座外から損失を補てんする必要があります。当然、払えるお金が無く破産するケースも少なからずあります。これが、FXが恐いと言われるゆえんです。

なので、証拠金維持率に余裕を持たせる(レバレッジを上げ過ぎない)ということが、FXやCFDでは非常に重要なことです。例えば、1ドル100円で証拠金は4万円とします。レバレッジ5倍だと、20万円で1万通貨(100万円)買うことができます。この場合、約16円の値動きに耐えられる計算となります。レバレッジ20倍だと5万円で1万通貨買うことができます。この場合、約1円の値動きにしか耐えられません。

この例で言えるのは、レバレッジを5倍もかけていたとしても、ドル円が16円も動かないと、先ほど言ったロスカットには至らないですが、レバレッジ20倍だと1円しか余裕が無いので、値が飛んで2円、3円動いて、破産するようなケースというのは、可能性としてゼロではないということです。

つまり、上述した破産するケースというのは高レバレッジでトレードしているような方だけの問題なので、過度な心配をする必要はありません。ただし、リスク管理を誤まりレバレッジが上がれば、そういった最悪のケースもありえるということです。

各FX業者のロスカット設定

証拠金維持率が100%下回ると強制決済(ロスカット)されると勘違いしている方も多いですが、ロスカットラインの設定は業者によりけりとなっています。主要なFX業者がどこを設定しているのか確認しておきましょう。

FX業者 ロスカットライン
GMO FXネオ 維持率50%以下
FXプライム byGMO 維持率80%以下
SBI証券FX 維持率30%以下
SBI FXトレード 維持率50%以下
くりっく365 維持率50%以下
みんなのFX 維持率100%以下
セントラル短資FX 維持率100%以下
楽天FX 維持率50%以下
DMM FX 維持率50%以下

注意点としては、上記はあくまでも有無を言わせず強制決済が執行されるラインです。維持率100%を下回ったら証拠金を積み増さないといけないのは法律で決められているので、通常翌日までに維持率を100%以上に戻せないとどの業者でも強制決済されてしまうという点は注意して下さい。

海外FXのゼロカットとは

参考情報として、どうしても追証が怖いと言う方向けに、海外FXという手段があります。海外FXではゼロカットと呼ばれる、口座残高以上の損失はでないという仕組みが導入されています。これがあると、上述したような注文が通らないとか値が飛んだとかで口座残高以上の思わぬ損失が出たとしても、口座残高がゼロになってそれでおしまいです。

また、レバレッジも日本の法律に縛られないので、最大888倍まで掛けることができます。レバレッジ888倍って言うと数銭動いただけで、一瞬で資金が溶けていくのでギャンブル以外の何物でもないのですが、その分儲かればすごい額になるので、一発逆転を狙ったギャンブルとしては結構人気があったりします。

ただし、税金の処理が面倒で税制が不利だったり、資産の保全がされなかったり、海外だからトラブル時に泣き寝入りになったりとかを考えると、そういったギャンブルをやる用途以外だと、国内の業者を使った方が無難だと思います。

証拠金維持率とレバレッジの安全な目安感

最後に証拠金維持率とレバレッジの安全な目安がどこにあるのかを説明していきます。

結論から言えば、安全な目安はありません。それが前提ですが、取引の期間と過去の値動きによって目安を見極めると良いです。例えば、ドル円であればリーマンショック時に記録した約7.2%の下落が1日の値動きとしては最大です。この値動きに耐えられるレバレッジは約13倍となります。証拠金維持率で言えば、約190%となります。これは1日の値動きなので、長期で見ればもっと高めに想定しなければならないです。主観的な内容ですが、目安感は以下となります。

レバレッジ 証拠金維持率 イメージ
1倍 2500% 初心者の練習用
2倍~3倍 1250%~833% リスク回避派の許容範囲
5倍 500% スワップ投資など、長期投資での一般的なレバレッジ
5倍~10倍 500%~250% 短期トレードの一般的な許容範囲
25倍 100% ギャンブラー

実際に、トルコリラ投資で安全な目安を設定した事例があるので、下記をご覧下さい。

あまり、難しく考える必要もなく、自分がいくらまでの値動きに対応できるレバレッジに設定するのかが重要です。安全を見過ぎれば、レバレッジが低くなり、FXのうま味は無くなってしまいます。リスクとリターンはトレードオフの関係にあるので、その点を考慮して自分なりの証拠金維持率(レバレッジ)を設定してみると良いと思います。