金融工学とポートフォリオ理論を分かりやすく解説してみた!

分散投資の根拠とも言えるポートフォリオ理論の理解は投資の幅を広げてくれます。

実は、大学時代に私も金融工学を専攻しており、ポートフォリオ理論について勉強しています。

そんな私から見て、ネットに転がっている情報は難解すぎるものが多いなと思ったので、今日は分かりやすくポートフォリオ理論を解説していきます。

10秒で分かる本日の概要
  1. ポートフォリオ理論は計算できなくても、感覚的に考え方を理解していれば実践可能です!
  2. 複数の資産を組み合わせて作る有効フロンティアという考え方が分散投資の根拠
  3. 最適なポートフォリオとは、無リスク資産を組み合わせた資本市場線でアウトプットされる

ポートフォリオ理論とは

金融工学とは

まずは、ポートフォリオ理論の前提となる金融工学について説明していきます。

金融工学とは、証券価値を数理的に定量化する学問で、ファンドのリスクマネジメントや銀行や保険会社などの金融機関が作る金融商品設計に活かされています。

1973年に発表されノーベル賞も取った「ブラック–ショールズ方程式」が始まりと言われています。

ブラック–ショールズ方程式はオプションの価格付けを行った理論で、これまで価格付け不可能と考えられていたリスクの定量化に成功している点で画期的でした。

オプションが良く分からない方は、下記も参考にしてみて下さい。

計算式の理解は必要ないですが、ここで言うリスクというのは統計学で言う標準偏差であることは知っておいて下さい。

例えば、下記のような3つのプランがあったとして、それぞれのプランにいくら値付けしますか?

プランA:90%の確率で100万円もらえる、10%の確率で0円
プランB:50%の確率で20万円もらえる、50%の確率で0円
プランC:50%の確率で11万円もらえる、50%の確率で9万円もらえる

どれを選んでも期待値は同じ10万円になりますが、同じ価格ならほとんどの方がプランCを選択するのではないかと思います。

つまり、プランCの方がプランAやBより価値があるということです。

しかし、それを定量的に説明できる理論が金融工学発祥以前は無かったわけです。

金融工学では、リスクを数値のばらつきと考え、標準偏差が小さいほど価値があるとしています。

実際に、標準偏差はプランAは30.17、プランBは14.14、プランCは1.41となり、プランCが最もリスクが低いことを定量化できます。

リスクが定量化できれば、プライシングもできるというわけです。

ポートフォリオ理論とは

ポートフォリオ理論とは、金融工学におけるリスク計算を前提として、安全資産とリスク資産の最適な配分率を計算する手法のことです。

少し脱線しますが、ポートフォリオと言えば、自分が保有している資産構成や、投資信託の組み入れている資産構成で良く用いられる金融用語なので押さえといて下さい。

話を戻すと、相場格言の一つに「卵は一つのカゴに盛るな」というものがありますが、実際に様々な資産に投資した方がリスクが分散される効果があります。

例えば、A銘柄1つに100万円投資するよりも、10銘柄に10万円投資した方が安心できますよね。

この感覚が定量化されたものがポートフォリオ理論というわけです。詳しくは後述します。

ポートフォリオ理論の構成

有効フロンティア

さっそく、具体的な話をしていきます。

ローリスクローリターンのA資産とハイリスクハイリターンのB資産の組み合わせをポートフォリオ理論で考える以下となります。

縦軸をリターン、横軸をリスクとして、資産Aと資産Bの配分により赤線で示した曲線が最適な投資配分である有効フロンティアと呼ばれる曲線になります。

計算式は割愛しますが、単純にA資産とB資産の組み合わせは直線で結ぶわけではなく、上図のような曲線になるというのがポイントです。

B資産を単独で持っているよりA資産を少し組み合わせた方が、リターンは少し下がってしまうものの、リスクが大幅に低減できるというわけです。

これが、まさに分散投資の根拠となる考え方なので知っておいて下さい。

リスクフリー資産

ポートフォリオ理論では、リスクフリー資産との組合せによる資産配分が、最適化された資産配分であると説明されています。

リスクフリー資産とは、国債のような実質リスクが無いような資産のことです。

例えば、米国債であれば、時期により変動しますが2~3%程度ありますが、アメリカが破たんして債券が紙くずになる確率はほぼ無いと言えるので、これを実質リスクゼロのリスクフリー資産とみなします。

国債をリスクフリー資産と考えるのが一般的ですが、銀行預金やアービトラージなど限りなくリスクが無いものであれば、そちらを代用しても理論的には影響はないです。

本筋と逸れてしまうためここでは説明しませんが、リスクが低い投資法は以下でも説明しているので、合わせて参考してみて下さい。

この無リスク資産のリターンをリスクフリーレートと呼びます。

後述する話に出てくるので、頭に入れておいて下さい。

資本市場線

上述したように、リスク資産を分散させつつ、無リスク資産と組み合わせることが、ポートフォリオ理論では最も最適な資産配分であると説明されます。

具体的に以下のようなグラフになります。

オレンジで追加したのが、無リスク資産のリスクフリーレートです。

ここから直線引っ張り、有効フロンティアと接する線(青線)を資本市場線と呼びます。

無リスク資産の比率によって、この青線上にリスクとリターンをコントロールできます。

ポートフォリオ理論の結論としては、この資本市場線上にリターンとリスクがくるように資産配分することが最も効率的ということになります。

今回は難しいからという理由もあり、具体的な計算方法の説明は省きましたが、個人的には、個人投資家が実践するにあたり緻密に計算する必要はないと考えています。

理由としては、株式やFXなど特定の投資対象のリターンとリスクを正確に算出すること自体が個人では困難だからです。

投資銀行などは無理くり計算することもありますが、そこで張り合っても仕方がないので、計算方法よりかどんな理論なのか知って、感覚的に分散させておけば十分だと考えます。