一見すると貸株サービスはノーリスクで魅力的に見えてしまいますが、実は心理現象まで踏まえればやらない方が良いサービスです。

そうしたデメリットも踏まえて、正しい利用方法を説明していきます。もちろん、今回説明するものも一つの見方に過ぎませんが、単純に金利狙いのトレードよりは安全な資産形成につながり、貸株サービスを有効活用できる考え方です。

貸株サービスとは

貸株サービスとは

貸株サービスとは、保有中の株式を証券会社へ貸し出すことで、その分金利を得られるというサービスです。保有した株式は口座に眠ってしまうだけになってしまうので、そこから金利収入が得られるということで個人投資家から好評を博しています。

2002年に松井証券で初めて導入されたサービスですが、現在ではSBI証券やGMOクリック証券などのほとんどの大手ネット証券で使うことができるサービスです。

このサービスは現物株式のみ利用でき、信用取引では利用できない点は注意が必要です。

実際に貸株金利はどれくらい?

上述した金利のことを貸株金利と呼びますが、その金利は銘柄により異なり年利0.1%~10%以上の金利がつくものも存在します。主な証券会社の年利10%以上の貸株金利は下記となります。

貸株金利が年利10%以上の銘柄
SBI証券 PKSHA(3993):12%、FFRI(3692):10%、CYBERDYNE(7779):10%
GMOクリック証券 PKSHA(3993):13%、ASJ(2351):13%、CYBERDYNE(7779):11%、エムティジェネックス(9820):11%等
楽天証券 PKSHA(3993):16%、ASJ(2351):13%、エムティジェネックス(9820):12%、CYBERDYNE(7779):11%等

年利10%を超えてくるような銘柄は、あまり知られていない新興市場の銘柄が中心にはなりますが、存在していることは確認できます。トヨタ自動車やソニーのような誰でも知っている企業となってくると、ほぼ0.1%で設定されていると考えてよいです。

貸株の受取額の計算方法

貸株の受取額の計算方法についてみていきます。

貸株の受取額は1日ごとに算出されたものを、1カ月ごとにまとめて口座に入金されるのが通常です。計算式は下記となります。

貸株の受取額=後場終値×株数×貸株金利÷365

例えば、SBI証券でCYBERDYNE(金利10%)の株を100株貸株にしたとします終値株価が500円だった場合、500×100×10%÷365=13.699となります。小数点第3位を切り捨てるので、13.69円がその日の付与額となるわけです。

ちなみに、土日を挟む場合はその分も金利発生します。また、約定日から4営業日後が受渡日となるため、貸株設定をしてもすぐに金利が発生するわけではないので注意が必要です。

得た利益は確定申告が必要

また、貸し株で得た利益は確定申告の対象となります。雑所得扱いとなるため、20万円を超えなければ、確定申告の必要はありません。(ただし、役場で住民税の納税は必要)

注意したいのは、副業収入や株の配当を総合課税にしたりしていると、雑所得が20万円を超えてしまうこともあるため、その場合は確定申告する必要があります。

株の配当を総合課税にした方がお得という話はこちらの記事をご覧下さい。

いずれにせよ、貸株の利益も基本的には課税対象にりますが、証券会社が事前に何か連絡をくれるというのはないゾーンなので、20万円以上は無いかどうか自分できちんと確認して、脱税にならないように気を付けておいて下さい。

貸株金利と空売りの関係

貸株金利はどうやって決まるのか

貸株金利の決まり方は、基本は需給で決まります。これは、買いたい人と売りたい人がいて、買いたい人が増えればモノの価格は上がっていくという、世の中のモノの価格の決まり方と同じです。

貸株は供給量が一定で借りたい人が増えれば、その価値はあがっていきます。また、貸株の供給量が増えて借りたい人が一定だと、その価値は下がっていきます。その逆もしかりです。貸株だと価格ではなく金利という形で表現されているだけの違いです。

あとは各証券会社で自社の事情等を踏まえつつ、証券会社が自由に設定することができます。実際に、上述した貸株金利では、PKSHA(3993)という銘柄は、SBIなら12%ですが、GMOは13%、楽天は16%という金利を設定しています。

つまり、貸株金利は需要と供給を見ながら、証券会社が独自で決めている金利です。

空売りが増えれば、貸株金利も上がる

上述したように貸株金利は、需給によって決定されます。

言い換えると、空売りしたい人が増えれば貸株金利も上がっていくことになります。そして、金利に影響を与えるインパクトがあるのは機関投資家なので、貸株金利が高い銘柄はプロの機関投資家に狙われている銘柄である可能性が非常に高いです。

先ほども例として挙げたCYBERDYNEの株価推移は以下となります。

ご覧いただける通り、ここ2年ぐらいの株価は右肩下がりになっています。

金利が高ければそれだけ空売りする人も多くなり、今後もまだ下がる可能性があるということが言えます。もちろん、全てがそうなるとは限りませんが、貸株金利が高いというのには、それなりに理由があるということは知っておいて下さい。

貸株サービスの正しい使い方

人間は金利が高いものに手を出したくなる生き物

ここまで見てきて貸株金利が高いことの怖さはなんとなく理解できたかと思います。でも、分かっていても高金利に目がくらんで手を出してしまうのが人間の性というものです。

確かに、年利で利回り10%あれば、10万円投資したら1万円が金利収入になるわけで、トレード自体はかなり有利に進められます。しかし、10%という利回りに対して、こうした銘柄を買うのは超ハイリスクなので、割に合わないです。

話は脱線してしまいますが、低リスクで年利ベースの利回りが10%近く出せる投資法は世の中にいくつかあるので、合わせて下記をチェックしてみて下さい。

0.1%の金利をもらうことに意味があるのか

貸株金利というのは、高い利回りに目が行きがちになりますが、通常の銘柄でも年利0.1%の金利を得ることができます。100万円投資して1,000円なので雀の涙ほどしかもらえませんが、もらえるに越したことがないのは言うまでもありません。

ただ、これも世の中的には割に合わない金利です。例えば、貸株にすることはできませんが、NISA口座で保有すると、利益や配当は非課税になるので、貸株よりもNISA口座の方が良いわけです。

NISAは口座開設するだけなので、簡単に手軽に始められる一方で、金額の上限が非常に少ない(通常なら100万円、積立なら30万円)ため、トレードをやっている方の多くは、NISAの枠を使い切ってしまった場合、NISAの枠外でお得な方法も考えておく必要があります。

これに対しても、貸株よりはお得な方法となるのが、FX株券担保サービスと呼ばれるものです。詳しい説明は関連リンクをご覧下さい。

貸株金利の変動が狙い目

貸株金利の正しい使い方として、その金利を目当てにするのではなく、機関投資家たちプロの動向を知るための手がかりとして使うのが良いです。

どういうことかというと、貸株金利が変動すれば貸株の需要と供給に変化があったということです。もし、金利が下がれば、供給が多くなったが需要が少なくなったかのどちらかです。需要が少なくなったのなら、機関投資家はその銘柄を狙うのをやめたと言えるわけです。

貸株金利の変動を狙い目としてトレードしていけばそのような効果が期待できます。

上述してきたように、貸株金利を利用して金利を得ることにはあまり意味はなく、金利変動自体を手掛かりに大口の動きに合わせた取引を行うというのが、より効率的な正しい貸株金利の使い方と言えるのではないでしょうか。