皆さん、きっとテクニカル分析を多少なりとも勉強してトレードしていると思います。

しかし、そもそもテクニカル分析は意味があるのかと言う疑問が頭によぎってしまうと、テクニカル分析の勉強に時間を割くのも馬鹿らしくなってしまいます。

そこで、テクニカル分析の正しい使い方とそのメリットについて説明していきます。

株、FXのテクニカル分析は意味ないと考えられる理由

ランダムウォーク理論|値動きに規則性はない

ランダムウォーク理論とは、株やFXの値動きには規則性はなく、論理的に値動きを予測するのは不可能であるとする考え方のことです。

相場の値動きというのは、その瞬間は上がるか、下がるかの2択しかありません。これをグラフにしてみた時に、上と下にランダムに行ったり来たりして、値動きが乱歩しているように見えることからランダムウォークと呼ばれています。

数学的な学問としての前提では、その値動きは上も下も50%の公平なものであると考えます。テクニカル分析否定派やインデックス投資信者はこれを根拠として、テクニカル分析でどんなに値動きを予想しようとしても、それは過去の結果の域を出ることはなく、値動きはランダムウォークして上も下も50%であるという確率は変わらないと考えるわけです。

ちなみ、株式市場においては企業や経済は成長していくものなので、ランダムウォークではプラスマイナスがゼロですが、企業や経済の成長分がプラスされることで値上がりすると言われます。つまり、インデックス投資信者は、長期的に投資することで値動きの影響を最小限として、企業や経済の成長分の利益を享受するのが最も効率が良いと考えます。

プロスペクト理論|多くの人はテクニカル分析を使いこなせない

プロスペクト理論とは、行動経済学の中で最も代表的な意思決定モデルの一つで、利益と損失に対する評価においてバイアスがかかり確率的に合理的な判断ができなくなる現象のことを言います。

仮にテクニカル分析が有効なツールだったとしても、肝心の使い手である人間自体が合理的ではないということを知っておかないとテクニカル分析は有効に機能しません。

例えば、実際に含み損を抱えている状況ではテクニカル分析上は底だと言うシグナルが出ていても、耐えきれずに損切りしてしまうわけです。これはプロスペクト理論の一つである損失回避の性質で説明できる心理現象です。いずれにせよ、そんな経験をした人たちがテクニカル分析は意味がないと言っているケースもありますが、これは明らかにテクニカル分析が悪いわけではなく、使っている本人の問題です。

このように、テクニカル分析を使いこなせていないだけというケースでも、テクニカル分析に対してネガティブな情報が出てくることになります。

プロスペクト理論について詳しく知りたい方は、合わせて下記もご覧下さい。

確証バイアス|人間は都合の良い生き物

確証バイアスとは、あらかじめ考えていた仮説や先入観に合致するデータのみを探してしまう傾向があるという心理現象です。例えば、ゴールデンクロスや三尊天井など有名なテクニカル指標を勉強してみた時、示してあるのはどれも成功事例です。

実際に、そのテクニカル分析が有効かどうか確認してみると、必ずしも予測した通りの値動きにはなっていないことが多いと思います。我々はその事実見ても、予測した通りになっている事例が見つかるまで探し始めてそれが一つ見つかれば、やはりそのテクニカル分析は有効であると考えるわけです。

また、似たような心理現象で、人は認知的不協和を避けようとする心理が働くものです。認知的不協和とは、自分が信じたテクニカル分析を使った手法が間違っていることが明らかになると自分のプライドが損なわれてしまうというもので、それを避けたいと思うのは多くの方が納得されるかと思います。

このように、人間というのは一度信じれば、あとは都合よく解釈してしまう生き物なので、テクニカル分析についても万能なツールに見えてしまうというわけです。

テクニカル分析が有効である理由

株やFXは多数決の世界

ここからは、テクニカル分析の有効性を説明していきます。私自身、テクニカル分析は過信してはいけないが、有効なツールであると考えています。

株やFXの値動きは多数決で決まります。実際に、次の値動きが上か下かどうかは、市場参加者の多くが上だと思い資金が向かえば、上に動くわけです。その逆もしかりです。

そして、その市場参加者の多くは、チャート分析も含んだテクニカル分析を使って値動きを予想しています。例えば、2017年に日経平均が2万円の大台に乗せようとしていた時、2万円という節目を抜くには少し時間がかかりました。こうなる理由は、2万円というのがとりあえずの節目と多くの投資家が考えていたので、2万円手前で利益確定の板が厚く出来上がっていたからです。

つまり、株やFXの値動きというのはランダムなものではなく、人間が作り出しているものです。なので、テクニカル分析で傾向を掴んで値動きを予想するというのも一定の効果があります。

人間は同じことを繰り返す生き物

上述した相場は多数決という話に合わせて、人間は同じことを繰り返す生き物というもの、テクニカル分析の有効性を示す根拠になります。

プロスペクト理論や確証バイアスでも説明した通り、人間というのは多くの人が似通った心理傾向を持っています。相場においても、時代が変わり、テクノロジーが進化しても、プレーヤーが変わっても、同じような値動きをしているものです。

1929年のウォール街大暴落という有名な株の大暴落が起きてから、約80年後の2008年にも内容違いますがリーマンショックという株の大暴落が起きています。そして、その前までは人々は投資に熱狂して株価を吊り上げていたという背景は同じです。このような事例は例を出せばキリがなく、歴史が繰り返す根本要因は時代が変わっても人間の本質が似たようなものだからです。

過去の値動きから特定の規則性を見つけ出すのがテクニカル分析なので、同じような心理傾向で作り出される値動きを分析して相場で勝つための手法を作り出すのはむしろ得意分野なわけです。

テクニカル分析の正しい使い方とそのメリット

テクニカル分析は確率を上げるツール

投資において、重要なことは確率をいかに上げるかにかかっています。最初のランダムウォークで説明したように、値動きが上か下かは、基本的には50%の確率です。

それをテクニカル分析など(ファンダメンタルズ分析など他の指標も)使うことで、いかに確率を上げていけるかというのが、投資の世界で勝つためには必要なのではないかと考えます。

もちろん、経済情勢や企業の収益性、成長性などをみるファンダメンタル分析や理論的には説明できない株や為替のアノマリーなども踏まえていく必要がありますが、最も確率を上げられるツールがテクニカル分析だと思います。このように考えるのは、上述した人間の心理は値動きにしっかり反映されており、その傾向を分析しているのがテクニカル分析だからです。

また、テクニカル分析は絶対的なものではなく、あくまでもトレードの確率を上げるツールであるという意識を持てば、不相応なサイズのポジションを持ってリスクに晒されることも減ってきます。

投資家として成長するのが重要

重複してしまうところが多いですが、チャートには人々の心理が映し出されます。

例えば、高値に近づいてきてナーバスになる人が多くなれば、出来高を減らし値動きはもたついてきます。やがて、売り込まれて値を下げてきます。ある程度下げれば、割安感からまた買いたいという人が現れて値を上げ始めます。

テクニカル分析を学んでいけば、そうした規則性が出る市場参加者の心理を知ることができるので、相場の値動きがより人間じみたものに見えるようになってきます。テクニカル分析を使えば使うほど、そうした心理傾向は見えてくるので、投資は経験値が重要と言われるわけです。

プロの投資家がいるということは、何かしらスキルによって勝率が変わることは明白です。やみくもに投資しているだけではそうした部分は見えてこず、投資家としてスキルを磨いて成長したいのであれば、テクニカル分析を学び、経験するのが大切だと思います。

売買のポイントを明確にする|根拠が無いとポジションを握れない

もし、値動きがランダムだとすると、我々はどこで売買すれば良いのか分からなくなってしまいます。根拠のないポジションほど心理的な負担は計り知れないものになります。

根拠なく持ってしまったポジションでは含み益が出ていても利確ポイントが分からず、利食いが早くなるか、ずっと持っているかになってしまいます。そして、暴落が起きて含み損になってしまうと、焦ってすぐに損切りするか、そのまま眠らせて塩漬けするかになってしまうというわけです。

良くあるのが、長期投資でなんとなく持っているポジションの利確、損切りタイミングが分からなくなるというものです。根拠を持ってトレードしなければそうなるのも当然で、さらに後付けで判断しようとすれば、バイアスがかかり正常な判断ができない可能性もあります。

なので、テクニカル分析を使って売買ポイント明確にしておくことが大切です。